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「「は~ぁ。ヒマだなぁ~…」」
小学校生活最後の夏休みも終盤にさしかかった頃、
親友のランとサヤカはぐだぐだと毎日を過ごしていた。
「もう8月も終わるってのに暑くて外で遊ぶ気にならないねー」
「えー、でも家の中にいてもヒマだよー?」
「いいじゃん、サヤカの部屋クーラー付いてて涼しいし!」
そう言いながら、ランはサヤカの部屋にあったファッション雑誌をパラパラ読んでいる。
しょうがない、TVでも見るかとサヤカはリモコンを手にした。
「……ねぇサヤカちゃん」
「ん?なぁにランちゃん?」
「サヤカちゃんって、髪の毛ずっと長いの?」
「うん。小さいときからずっと長いよー」
「そうなんだ。あたしもずっと長いんだーえへへっ」
2人ともロングヘアを左右の耳上で結んでいる、仲良くお揃いの髪型だ。
「…ねぇサヤカちゃん。…一緒に髪の毛、切ってみない?」
ランは、いつの間にかサヤカの部屋にある工作用のハサミを手にしている。
「…えっ…?ええええーーーーっ!!?」
「絶対かわいくなるって!サヤカちゃん、ランの髪の毛切ってよ!
ランはサヤカちゃんの髪の毛切るから!」
「どーやって切ろうか…」
「よくわかんないから、とりあえず2つ結びのところ切っちゃおうよ!」
お互いにハサミを持って、対面に座った。
「サヤカちゃん、切るよ…」
「ランちゃんも、切っちゃうからね…」
ゆっくりと、相手のツインテールの結び目にハサミを入れる。
「「せーのっ!」」
ジョキ、ジョキ、ザク、ジョキジョキ。
髪が切られていく感触と切っている感触が同時に伝わった。
ゆっくり相手の髪から手を放すと、お互いの手には相手の髪束が握られていた。
「…切っちゃった…ね…!」
「なんかゾクゾクしたぁ!」
「早くもう片方も切っちゃおうよー」
「じゃあ、いくよ」
ジョキ、ジョキン、ジョキジョキジョキ、チョキン。
「…ランちゃん、髪の毛みじかくなったよ」
「サヤカちゃんだってもう長い髪の毛ないよー」
「でもなんか長さバラバラだねー。どーしよう…」
「あたしお母さん呼んでくる!キレイに切ってもらおう!」
数分後、すっきりとボーイッシュな髪型になった2人がいた。
「ランちゃんさっきより短いよ!男の子みたいになってるよ!」
「ほんとだ!もう髪の毛結べないね!サヤカちゃんも男の子みたいな髪型だよー!」
「あたし、男の子と間違われちゃうのかな、やだなぁ…」
「…!そうだサヤカちゃん!」
ランはおもむろにバッグを漁ると、何かを取り出してサヤカの短くなった髪と自分の髪をいじった。
「リボンのパッチンどめ!お揃いだよっ!」
「…えへへっ、ランちゃんありがと。かわいいよ。すっごい似合ってる!」
「ありがと。サヤカちゃんもお姫様みたいだよ!」
そう言い合って、2人は仲良く笑いあった。