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「はぁ~あ。今月これしか残ってないよー」
銀行の残高とにらめっこをしているのは、中小企業に勤めるレナ。
「もうすぐ誕生日だし、自分にイイもの買おうと思ってたのにー・・・」
PCを立ち上げ、日払いでできるようなバイトを探した。
「んーキャバクラはレベル高いなー・・・短時間で休日にサッとできるようなのは・・・」
ふと、レナの目にある文字が入った。
――カットモデル、募集中!謝礼あります。詳しくはメールで――
カットモデル、確か先輩が話していた、美容師の練習台だったり、ヘアカタログのモデルだったりするやつか。
オシャレが楽しめる上にお金までもらえる、こんなオイシイ話はない。
早速レナはメールを送り、打ち合わせの日程まで取り付けた。
「こんにちは。君がレナちゃんだね?」
カフェで打ち合わせの相手を待っていると、20代後半ほどの若い男が顔を出した。
「初めまして。あなたが美容師さんですか?」
「僕は違うよ。アシスタント、ってところかな?橋田です。今回はよろしくね。
いきなり本題に入るけど、レナちゃんどのくらいまで大丈夫?」
「え・・・?どのくらいって髪を切る長さですか?」
「そうそう。レナちゃん綺麗なロングヘアだから、確認しておこうと思って」
「う~ん、あまり短く切りたくないかな?」
レナは肩より上には一度も切ったことがなく、小さい頃からロングヘアをキープしていた。
「でもね、インパクトがあるほど売れるから、その分謝礼も上がりやすいんだよ。どうかな?」
「・・・!!!」
少しの沈黙の末、レナは決断した。
「短くします!ばっさり切っちゃってください。」
「本当に!?ありがとう!では当日は○○駅集合で!よろしくね!」
(橋田さん、いい人そうで良かった。それに美容師さんだもの、普通に可愛い髪形にしてくれるはずだし、
髪だってすぐに伸びるよね!楽しみだなっ!)
当日、待ち合わせ場所に行くと橋田は既に待っていた。
「レナちゃん、こっちこっち!じゃあ今から現場に向かうよ。心の準備はいい?」
「もうバッチリです!早く行きましょう!」
橋田の案内で、数分歩いた。
「到着~。ここだよ。店に入るところから早速撮影に入るから~」
案内された先は、街のハズレにあるような普通の、床屋だった。
「え・・・えっえええ???」
レナがパニックになっていると、既にカメラが回された。
「レナちゃん、カメラが回っているから君はもうモデルさんなんだ。しっかり頼むよ!」
恐る恐る床屋のドアを開けると、沢山のスタッフやカメラが用意されていた。
「いらっしゃい。こちらへどうぞ」
床屋のオバちゃんがレナに声をかける。
「今日はどのようにします?」
「あ・・・あの、み、短くして・・・」
そう伝えると「それじゃ、ばっさり切っていきますね」と言って、レナの髪にハサミが入る。
ジャキ、ジャキ・・・カシャ、パシャ・・・
ハサミの音とカメラの音がレナの耳に入ってくる。
(後ろ、相当短く切られてるみたい・・・)
襟足にハサミの冷たい感触があり、バサッと髪の落ちる音と共に、急に首が涼しくなるのを感じた。
サイドの髪にもハサミが入る。
(えっ、そこ耳の上・・・そんなに短く・・・)
ジャキジャキジャキ・・・
あっという間に背中まであったレナの髪は短くなってしまった。
オバちゃんはスキばさみに持ち替えると、根元からザクザクとレナの髪をすいていった。
(まだこんなに切るの・・・どうしよう・・・)
一通り切り終わると、手でワシャワシャと髪を払われ、下を向かされた。
ウイーーーーン・・・ジリジリザリザリ・・・
(バリカン・・・!えっ私もしや坊主に?)
不安なままシャンプーをされ、剃刀で襟足を剃られた。
「お疲れ様。こんな感じだよ」
鏡に映ったのは、少し長めのツンツンヘアをしたレナだった。
「スッキリしましたね」
「・・・あ、ありがとう、ございます・・・」
そう言って、レナは椅子から立ち上がり、店を出た。
椅子の周りにはレナの長い髪がドッサリと落ちていた。
「・・・カット!レナちゃんお疲れ!良かったよー!可愛くなったね!」
すかさず橋田が駆け寄ってきた。
「謝礼は今度振り込んでおくから!またよろしくね!」
・・・そう。レナはフェチビデオのカットモデルに申し込んでいたのだった。
数日後、レナのもとに先日撮影したDVDが届いた。
(・・・恥ずかしい!こんなのが世に出回っているなんて!)
捨てようとしたが、やはり記念として取っておくことにした。
そのDVDは売れ行きもよく、意外と多くの謝礼が支払われた。
橋田ともその後連絡を取り続け仲良くなり、今度デートに誘われてしまった。
(素敵な誕生日になりそう・・・髪、切ってよかった!)