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「ちーちゃんの髪いつもさらさらだよねーいいなー」
「えー、そうでもでもないって~」
小さいころからずーっと伸ばしているチカの髪は、小学5年生になった今では
背中の真ん中あたりでサラサラなびいている。
「ちーちゃんロング似合うしうらやましいよー」
「そうかな…?そうだ、昨日ね、可愛いヘアゴム買ったんだ!明日つけてくるね!」
「わぁ~楽しみにしてる!じゃあ、また明日ね!」
最近のチカには少し悩みがあった。
ここ最近首の後ろのかゆみがおさまらないのだ。
「ねえお兄ちゃん、首の後ろ蚊にさされたみたい。薬つけてー」
チカの家は両親が忙しく、面倒は5歳年上の兄がみてくれている。
「…チカお前これ虫刺されじゃないぞ…あせもだな…」
「あせも?えーどうしたら治るの?」
「汗をかいたときに髪で蒸れているからだと思う…切ったら治まるんじゃないか?」
!!!!
どうしよう…髪切りたくない…けどかゆいのは、もっといや…
「ほらここ、掻き毟って傷になってる。ひどくなる前に切っとけ。また伸ばせばいい」
「…………うん、わかった」
「本当に俺が切っていいのか?」
「うん、最初はお兄ちゃんに切ってほしい」
「よし。本当に短くするからな。覚悟決めろよ」
そう言うと、鋏を手に取り、チカの耳下に近づけた。
「いいよ。思い切り切っちゃって。」
ジョキ、ジョキ、ジャキ。
パラパラと短い髪が耳たぶにあたると、長い髪は床にパサッと落ちた。
後ろの髪にも首の付け根に鋏を入れ、ジョキジョキジョキ…と横に切り進められる。
バッサバッサと長い髪が離れ、床に落ちていく。
「これで最後だ」
そう言いながら、反対側のサイドも耳下でザックリ切り落とした。
「少し整えるからもう少し待ってろ」
梳き鋏を短くなった髪にシャキシャキ入れると、さらにバサバサと髪が落ちていく。
「襟足も整えるぞ。下向いてろ」
ヴィィーーーン…とうなじと襟足にバリカンを丁寧に入れる。
「はい、どうだ、首元スッキリしただろ?」
兄から手渡された鏡には、すっかり短くなった髪のチカが映っていた。
「うわ、随分短くなってる…後ろも首に全く髪がないよ…スースーするー」
「お兄ちゃん、髪の毛切ってくれてありがと。短いのもなかなかいいかも」
そう言ってチカは長かった髪に別れを告げた。
「ちーちゃんおは…!!!えっ…ちーちゃん!!?」
「えへへ、初めてショートに切っちゃったよ、どうかな?」
「ばっさりいったねー!サラサラヘアー好きだったのにー」
「うぅ…」
「でもすっごい似合ってる!ちーちゃん短くてもサラサラだもん!」
「よかった~。ね、今度一緒にカチューシャ買いに行こう!短い髪に似合うの一緒に探して!」
「任せろ!すっごい可愛いの選んじゃうよ!」
数日後、チカの首のあせもは嘘のように消えた。
「また髪が伸びたらお兄ちゃんに短くしてもらお…!」